バスドラムのお話し

バスドラム=大太鼓。奏者右足側に横置きに設置してある大きな太鼓の事です。

前回の投稿にある、バスドラムペダルを足で踏んで演奏します。客席から見ると、よくドラムメーカーのロゴが大きく書いてあるのが見える太鼓ですね。


このバスドラムですが、色んなサイズがあります。私がエンドーズしているカノウプスというドラムメーカーですと、カタログサイズで6種類。15インチ、18インチ、20インチ、22インチ、24インチ、26インチ。これは打面側のサイズで、口径といいます。奥行き(深さ)は、おおよそ14インチ、15インチ、16インチ、18インチの4種類が組み合わせられます。深さがあるほど、音が丸みを帯びて、低い帯域の音像が増える傾向です。これを深胴といいます。逆に、浅い胴体はパンチがあって、音の輪郭がはっきりします。これを浅胴といいます。


ちなみにドラムセットが発達したのはアメリカですので、インチ表記です。


さて、今回は口径に絞ってお話しします。ざっくりと音楽ジャンルと口径の関係はこんな感じです。


15インチ

ジャズやアコースティックな音楽を、小さなスペースで演奏するのに向いています。小さめな音量コントロールが得意ですが、少々腰高な感じです。口径が小さいの発音する音像が高めです。トントンといった軽い音像です。


18インチ

主にジャズドラマーに愛用されているサイズです。ファンクでも使う事がありますね。私の大好きなドラマー、バーナード・パーディー氏は、色んなジャンルで18インチのバスドラムを使用しています。スタンダードサイズの中では一番小さいサイズです。ポンポンといった軽い音像の中に、低音が見え隠れする、といったイメージです。

18インチのバスドラムが発達したのには、いくつか理由があるそうです。1960年代、ニューヨークのクラブで演奏するジャズドラマー達が、イエローキャブのトランクに乗せることが出来て、持ち運びが苦労しないサイズだというのが、有力な説だそうです。


20インチ

輪郭のはっきりした倍音、すっきりとした低音でコントロールしやすいのが、この20インチです。

現代のスタンダードといっても過言では無いと思います。バスドラムペダルのビーター(打面を叩くマレットのようなもの)が、ほぼ打面中央にヒットするので、存在感のあるバシッとしたアタックが出ます。

ポップス、ファンク、ロック、クロスオーバー系ジャズ、ヒップホップなど、ほぼオールジャンルで使えます。私が愛用しているサイズでもあります。バスバスといった感じの音像で、低音と高音が両方同じバランスで聞こえてくる印象です。


22インチ

ロック系のスタンダードサイズ。太くて適度に輪郭もあって、市場に最も出回っている口径です。ライブハウスのハウスドラムとして置いてある事があるので、ドラマーなら必ず使用した事のあるサイズですね。バスドラムペダルのビーターが中心より、やや下側をヒットするので、20インチのバスドラムに比べれば、少し音の輪郭がボヤけますが、その分低音に迫力が出てきます。ドスドスといった感じの音像で、豊かな低音の上に高い音域が乗っかって聞こえるイメージです。各サイズのバスドラムの中で、音量は最大だと思います。


24インチ

豊かで暖かい低域の音像。ハードロックのドラマーが愛用するサイズですが、この豊かな低音に魅了されているドラマーはかなりいます。以前お話しを伺った、東京スカパラダイスオーケストラの茂木さんは、24インチのバスドラムが大好きだそうで、ご自分のセットは24インチのバスドラムを基調としたセットです。大きいので持ち運びがちょっと大変ですが、それでもこの口径からくる低音は他のサイズでは補えない、そんな魅力的な音像です。バスドラムペダルのビーターが中心よりグッと下にくるので、少し演奏しずらくなります。ボスボスといった感じで、豊かで深い低域がとにかく特徴的です。


26インチ

カタログサイズ最大。なかなか使用しているドラマーが少ないのですが、私は大好きです。古くはビックバンドのドラマーが使っていたサイズです。いわゆるオーケストラなどで使われるバスドラムに見られる、口径の大きなバスドラムです。ちなみにオーケストラ用のバスドラムでは32インチ、またはそれ以上のの大きさもあります。口径が大きく重量も増すので、運搬には苦労しますが、他のサイズでは味わうことの出来ない柔らかい低音がありますので、私は一番好きな音色です。ちなみにレッドツェッペリンのドラマー、故ジョン・ボーナム氏愛用サイズです。私がこのバスドラムを持ち込むと、ギタリストはアンプのボリュームを上げて、レッドツェッペリンの楽曲を弾き出すのですが、そんなつもりで持ち込んでる訳ではないですから!(笑)大きいから大きな音が出るかというとそうでは無く、22インチの標準的な口径よりも音量は落ちると思います。

バスドラムペダルのビーターは中心からかなり下にきます。ビーターがヒットした瞬間、ヘッド(打面の皮)がたわむので、演奏しずらく慣れるまでに時間がかかります。

ボンボンといった音像で、とても柔らかく豊かな低音が気持ちよい、大太鼓らしい音色が特徴です。


いかがでしたか?口径によって音像に変化が付く事をご理解頂けたと思います。


私が愛用しているのは、20インチ。あとはジャンルやシチュエーションによって変わります。

所有している最小サイズは12インチ。これは自作です。メインが20インチ。ラウドに鳴らしたい時は22インチ。柔らかい低音が欲しい場合は26インチと、それぞれを使い分けています。


定成クンゴ